建築審査会への事業者側申立書・嘆願書に思う

堀坂・六角坂の住民の皆さんが建築確認や開発許可の適法性を巡り、署名活動、裁判、審査請求などで長年争って来られたNIPPO/神鋼不動産の小石川2丁目マンションについて、私もずっと関心をもって追い続けてきました。

建築審査会から9月7日に、係争中の審査請求の裁決があるまで建築確認の執行を停止する決定が出されました。これを受け現在工事は停止していますが、マンション事業者の代理人から申立書(10月5日)と嘆願書(10月8日)が出され、その中で、証拠物件として私のブログが採用されたことを知り、大変驚きました。(写真参照)nippo-20151105-1nippo-20151105-2

審査請求人が審査会の傍聴を区民に呼びかけるために配布した「小石川二丁目マンション審査請求の経緯のご説明とご協力のお願い」
koishikawa2.mansion.michikusa.jp/documents/koishikawa2-kotoshinsa-20150820.html)の内容から、審査請求と執行停止申立てが企業に損害を与える目的と断じられ、公序良俗違反、権利濫用とのそしりを受け、その証拠とされたものです。

数日後、改めて申立ての内容を読み直し、怒りが沸々と込み上げています。まだ審査中で適法と決まったわけではないのに、適法を前提とする差し出がましい申立てであり、しかも同列で争う相手方の目的を邪推し、公序良俗に反すると断罪するなど許し難いものがあります。同じ言葉をお返ししたい。粛々と裁定を待つよう申し上げたいところです。

審査請求人が配布した文書の一部が誤解された可能性はありますが、企業に損害を与える目的でないことは疑いなく、事業者側の言うような公序良俗に反する権利の濫用とは無縁な、正当な権利の行使によるものです。

請求人の意図するところは以下のようなことだと推論します。

着工前に高さ制限が施行されると2階下げる設計変更をしなければならず、ダメージが大きくなるから、自分たちを合法と信じ審査が終わりさえすれば晴れて着工できると考える事業者としては、高さ制限施行に間に合う時期に審査が終わるようにしたいのは当然ですが、逆に違法を主張し、高さ制限に従うことを要求する請求人としては、既存不適格の建物が100年間隣にそびえるのは御免なので、高さ制限が施行されるまで着工できないようにしたいということです。審査が終わらないと着工しにくいだろうから審査を長引かせたいと考えるのも当然です。

そして事業者は、着工さえしてしまえばあとは既存不適格になろうが、隣が鬱陶しかろうが関係なく、審査会が裁定する前に早く竣工して訴えの利益がなくなり請求が却下されることを望み、逆に請求人は、着工してしまったら今度は訴えの利益がなくならないよう、竣工する前に採決が出るよう急ぎたいのは自明の理です。審査請求の力学であり、疑わしい建築確認処分に審査請求をするという当然の権利を行使する国民として当たり前の行動です。

これまで長きにわたり、建築計画に疑義があろうがなかろうが、審査請求が提起されていようがいまいが、建築確認がおりれば着工し、建築工事は進み、出来上がれば訴えの利益がないとして請求が却下される理不尽が世の常でした。しかし、ようやくここに来て、周辺住民のエゴでも嫌がらせでもなく、本当に確認の適法性、建築計画の妥当性が問われる場合は、審査会がきちんと審査するために確認処分の効力停止という裁定をしてくれる傾向が認められるようになり、良好な住環境を望む住民にかすかな光が射してきています。

建築基準法や都市計画法など都市法全体が建てる側に有利なように設計され、その法に従うだけの行政も結果として建てる側に寄り添うようになっている現在の建築行政ですが、10年以上におよぶ私費を投じ時間と骨身を削っての住民の粘り強い訴えと、それに呼応して一部の法曹界や建築専門家たちが動いてくれたことが奏功したものと敬意を表します。

良好な環境のまちに土足で踏み込み、都市計画法や建築基準法不適合の疑いのある計画を立て、訴えられても意に介さず、係争中の物件をどんどん売っておいて、周辺住民が故意に購入者への引き渡しを遅らせ、購入者に迷惑と損害を与えた、などという利己的な主張はあまりにも傲慢です。購入者が争点を知っていたかどうかも問いたいところですが、そこは不問に付すとしても、審査請求人への際どい言葉での断罪や、購入者の人生設計に及ぼす甚大な影響まで建築審査会に斟酌せよとの嘆願はあり得ない越権行為、権利侵害です。

営利を目的とする事業体としてのリテラシーを持っていただきたい。同時に、昨今の企業倫理に反する重大な建築犯罪を見るにつけ、事業者が襟を正すことはもとより、元からの住民や住宅購入者も相応の注意を払い、主張して身を守ることの重要さを痛感します。

窮鼠猫を噛むがごとき嘆願書は無視して、審査会の委員の皆さまには、粛々と厳正なる裁定をしていただくよう嘆願したいと思います。

2015年10月17日

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