住民意思が反映されない都市計画1

10月22日に都市計画審議会が開かれました。

 絶対高さ制限が3月に施行されて初めての緩和特例認定の可否、「土地利用上止むを得ない場合の教育・医療施設の特例」として東京大学経済学部棟の増築について諮問されるということで、緊張して臨みましたが、一言でいうとびっくりする進行で、賛否意見陳述の機会もないまま、議事録に質疑が残るからいいだろうという会長の一存で、「了承」の答申が即決されました。
 18:30~20:30で議題3件(答申1件、即日諮問・答申2件)、報告3件を審議するタイトな日程でしたが、そもそも諮問・答申を1日のうちに2件処理することに無理があります。冒頭都計審の開催方法について具申しましたが、他の案件とまとめて1回にしたという答弁。まとめる必要があるのか疑問です。案の定45分オーバーし、それは細かい質問をする委員が勉強不足だから悪いので、意見を言わない委員を見習え、という見解のようですが、諮問に疑問を持ち質疑如何によっては反対する立場の委員が質問するのは当然のことで、審議会軽視、意見を抑制し審議させないための策略としか思えません。
 さて、今回の議題「東京大学本郷文系総合研究棟」は、赤門を入って右手の経済学部棟奥、現在2階建ての部分を高さ制限(22m)を大きく超え、2.8倍(約60m)に増築する計画ですが、特例認定の初の事案でもあり、環境悪化や周辺住民の生活変化についてもっと丁寧な認定が必要だったと考えます。以下に説明させていただきます。(長文ご容赦)
 以下の「都市計画高度地区変更」の4~5ページ、3-(3)区長の認定による特例で「土地利用上やむを得ない」場合については「絶対高さ規制は適用しない。この場合は区長はあらかじめ都市計画審議会の議を経るものとする。」と規定しています。
www.city.bunkyo.lg.jp/var/rev0/0072/5797/02_shiryo1.pdf
特例認定の基準の4ページ(3)に「土地利用上やむを得ない場合の特例」の認定基準があります。
www.city.bunkyo.lg.jp/var/rev0/0072/5799/04_shiryo3.pdf
 問題の個所はアです。前段に「対象となる建物は、公益・公共施設、教育施設、医療施設で、良好な市街地環境の形成に資する建築物とする。」とあり、後段は「ただし、教育・医療の用に供する建築物は、原則として次のア)からカ)のすべてに該当するものとする。」となっています。
①後段ただし書きは、前段の「良好な市街地環境の形成に資する建築物」の具体的条件そのものと解釈するか、
②「前段に加えてさらに次の条件を付す」と解釈するかで認定の中身が違ってきます。
 区と都計審会長は①の解釈で、ア)からカ)を全部満たせば、即ち良好な環境形成に資することになり、都計審はそれを確認するだけで認定可とするという考え方ですが、私は②の解釈です。前段の対象建築物に入れたからには公益・公共施設と同様、良好な環境形成に資することが条件で、ただし、教育・医療施設は大規模敷地特例より大きい緩和率ながら上限を定めるということだと思うのです。
 前者①の解釈だったら、対象に教育・医療施設を含め、わざわざ良好な市街地環境云々と書いた上で、ただし書きまでつける意味がありません。また、「良好な」という定性規定がなくなることになり、後段の数値規定だけをクリアしても、良好な市街地環境の形成に資するとは言い切れないからです。定量規定だけでは質は確保できないというのは定説です。
 都市計画審議会の議を経るというのは単に数値規定をクリアしているかどうかを確認することではないはずです。そもそも公益・公共施設の場合は「ただし」以下の後段がないわけですから、定量規定がなく定性規定だけで良好かどうかを判断することになり、都計審の議も数値の確認だけでは済まないはずです。教育・医療施設だけ数値の確認で済むと考えるのも理不尽な話です。また、「良好な市街地環境の形成に資する」かどうかは周辺住民の生活環境と深く関係するので、この諮問に際して周辺住民の意見を聴取したかどうかを尋ねたところ、住民には諮っていないとの答弁でした。というわけで、①の解釈ではとても大規模敷地の緩和の2.8倍という緩和を認定するには不十分だと考えます。
 さらに、今回の諮問には東大からの「特例申請理由書」が添えてありますが、地域貢献に関する区の見解は何も文書化されていません。理由書は当日席上配布で差し替えがあり、削除された部分がありましたが、その部分の趣旨は「本郷キャンパス内では建物計画地を変更する敷地がないからこの場所しかない」ということ。今回の特例適用には関係がない文言なので、区が進言し東大と相談の上削除したという説明でした。こちらから指摘するまで差し替えの意図の説明がなかったことも問題ですが、ほんとうに「止むを得ない」のか、理由書にあるように「経済学研究科棟や赤門総合研究棟と一体運用でなければ機能しない」のか、その検証こそ本来都市計画審議会に付託された認定の可否を決める審議のはずです。質問の最後にこのことを聞いて、その結果如何で認定の可否の意見陳述をしようと思っていましたが、他の委員にも聞かなければならないと中断され、他の委員からは質問はほとんどなかったにも拘わらず、追加の質問と意見陳述は「もうだめ!」の一言でシャットアウトでした。
 採決はありませんでしたが、このような審議過程では良好な市街地環境が形成できるかどうか全くわからないので、もし意見を言わせていただけたなら私は認定に反対しました。絶対高さ制限の検討過程で4次素案のときに「区長の認可による特例」が「許可」に変更され、その後許可からまた認定に戻された経緯があり、許可より通常緩い認定になることに異議を申し立てましたが、都計審で審議するから緩くはならないとの抗弁でした。しかし実際に運用されたら第一例からこのように区の独自検証もなく、審議会でもほとんど無審査で申請側の言うなりだとわかり、いつもながらがっかりです。やっぱりねという感じですが。
「住民無視の文京区都市計画その2」では再開発と誠之小・明化小改築基本構想検討委員会について書きます。

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