情報公開条例20条「救済の申出」

建築基準法違反が判明したある建築物に関し、法適合調査と消防署との協議内容の情報公開請求をしたことに対する非公開決定について、文京区情報公開及び個人情報保護審査会に決定の取り消しを求めて救済の申出をおこなった結果の報告書を見せてもらいました。

申出の内容は個人が特定できるので割愛するとして、区行政の言い分だけ見てみると、

「条例第7条第3号に該当するため、非公開としたことについて
本件是正指導は、建築基準法第9条による違反に対する措置の前段階の、行政指導の
段階である。行政指導の段階においては、当該建築物が建築基準関係法令上の何の法令
に抵触しているか、又は区からどのような指導を受けているかは一般には知り得ない情
報である。事業の目的のために同社が所有する建築物について、区から受けている行政
指導の内容が公にされた場合、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害す
るおそれは否定できない

なお、本件是正指導内容は、当該建築物を使用する者の避難を確保することを目的と
しているもので、一般的な人の生命や生活等の保護のために公にすることが必要である
とは認められず、第7条第3号のただし書きに該当しない。

条例第7条第6号に該当するため、非公開としたことについて
行政指導は、行政手続条例第31条第1項に規定するとおり、相手方の任意の協力に
よってのみ実現されるものである。行政指導の内容を公開することによって、区と所有
者等との信頼関係が崩れ、所有者等が態度を硬化させ行政指導に協力しない可能性が高
くなり、監察事務の適正な執行に支障を及ぼすおそれがある。
また、本件行政指導は、建築基準法令に抵触する部分があるため是正計画の作成を求
める旨の内容であるが、その違反条文や内容を知ることで、この程度の違反であれば行
政指導の範囲であり、建築基準法第9条による措置命令はなされないのだという誤解を
生むおそれがあり、この場合も監察事務の適正な執行に支障を及ぼすおそれがある。
こうしたことから、第7条第6号に該当し、非公開とした。」

 

これを読んだある人は、「ショッカーのような抗弁」(仮面ライダーのショッカーのように相手すると疲れるだけの弁明を次々としてくる)と感想を漏らしたそうです。

けだし名言、情報公開制度の本質をまったく無視した、ただ脱力させるだけの抗弁です。明るみに出されたくない業者のために笑っちゃうほど一所懸命な行政の姿。違法建築の違法たるゆえん、建物の住人だけでなく毎日通学・通勤で通りかかる子どもやおとな、訪問者、周辺住民など広く一般に悪い影響を及ぼすからこそ違法だということを忘れ、業者が少しでも多く儲けるために法を犯すことも忘れ、住民のためを装い行政と業者が仲良くすることが住民のためと言わんばかりです。私たちは経験上、住民がおとなしくしていれば区が業者を適切に指導してくれて、文句を言うより良い結果が出るなんてことは断じてないことを熟知しています。

こんな言い分が通るなら、風が吹いただけで傾くかもしれない危ない企業の情報が開示される見込みは絶対にない上、超有名大企業のマンションが基準法違反を見過ごされて鉄筋が間引きされたり、数年後に文字通り傾いたり、広告法や宅建業法違反の巨大広告チラシがばらまかれたりする異常事態も永遠になくならないでしょう。

 

で、審査会の出した結論は、

「不存在により非公開となる部分を除いて、公開すべきである。また、一部公開とする理由についての決定通知書の記載に瑕疵が認められるので、この点につき、実施機関に対して今後は適正な処理を行うよう勧告する。」

判断理由の中で行政の言い分はことごとく否定され、ある人がショッカーと形容した内容はやはりおかしかった、私たちの感覚がまともだったことがわかり、救われた思いです。

 

以下審査会の判断理由から要点抜粋

「一般論としては行政指導を受けた事実が公にされることで、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害する可能性があることは否定しないが、本件については、その可能性は抽象的なものに留まり、そこには当該法人と実施機関のやりとりや、当該法人のノウハウ等も記載されておらず、また建築物の所有者についても不動産登記事項証明書において公にされている情報と一致していることから、法人の正当な利益を著しく害するとは認められない。」

「行政指導の事実については、公開することで相手方の改善を促す面もあり、また、実施機関は、重大な違反事実がある場合には、相手方の協力によらず強制的な権限の発動を行うことも可能であるから、公開の可否については、一概に論じることは困難である。
本件に係る行政指導の実施状況、非公開部分の具体的記載内容からすると、本件非公開部分を公開したことにより、直ちに対象者の協力を得ることが困難となり、また、行政指導の内容が公になることにより監察事務に著しい支障が生じる蓋然性があると認めることは困難である。
なお、本件文書は、一件の建物についての一回の違反是正指導に係る文書であり、違反是正がなされない場合に、他の措置を検討するのか、行政指導にとどめるのかといった内容も記載されていないのであるから、実施機関が主張する、この程度の違反であれば行政指導の範囲であり、建築基準法第9条による措置命令はなされないのだという誤解を生むおそれもないと考えられる。」

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