2014年2月25日|コラム
法人住民税の一部国税化について区長会や議長会は反対し、文京区議会も地方税財源拡充を求める意見書を内閣と国会宛に出しています。たまたま税収が上がっているときに将来の高齢化対応などの原資をもっていかれることに反対するのは当然で、国税から地方への税源移譲をきちんと税制改正で行うべきです。でも考えてみると、区部が潤っているのはたまたま大企業が集まり、法人税が地方税になっているだけで、税制を抜本的に改革すれば国税になるべきものなのかもしれません。東京都に人や企業が一極集中したのは都区の政策だったわけではなく、国策の失敗と言える部分もあるのですから。
そんな中で面白いファイルを見つけました。2009年度に財政健全化団体になってしまった沖縄県伊是名村の外部監査報告書。
http://vill.izena.okinawa.jp/izena/wp-content/themes/izena/pdf_file/k-03.pdf
すでに財政健全化計画は完了していますが、一時は世帯の子どもの数が日本一になったこともあるこの村がどんどん人口を減らし産業を衰退させ、補助率の高い若者定住緊急促進事業で実質公債費率を悪化させ、補助金で建設した観光施設群では定住促進ができなかったという経緯が大変含蓄深く示唆に富みます。ふるさと納税に地方交付税と類似の機能を見出しているのは、税制改正がどうしてもできない日本国では、窮余の一策とはいえ一条の光です。
先を見る目、将来見通しがいかに大事か。文京区も、2009年に都市計画決定しながら事業着手が遅れに遅れている巨額補助金78億導入という春日後楽園駅前再開発に、例のアベノ経済好循環なんたらを原資とする緊急促進事業の追加補助を組合と検討しているようですが、都心部で辺境の小島みたいなことを考えていて大丈夫?相変わらず区民はそっちのけで闇の中。国の補助だけで区が一銭も出さないなら、他の区に取られるよりはいいから推進すると区は言いますが、区民だって国民ですよ。一銭どころか文京区民は納税優等生。区民が78億にさらに上乗せするのがいいと考えるかどうか、再度都市計画審議会できちんと諮ってくださいよ。
前出の監査報告書のまとめにとてもいいことが書いてあります。「ふるさと納税は受益者負担の原則に反するという矛盾を抱え込むことで、結果として相互扶助という地方交付税と同様の機能を果たしている。しかも地方交付税のようにトップダウンでなく個人の自由意思で決定することができ、・・・個人はその出自に縛られることなく寄付をする自治体を選択することができる。・・・住民でもない他者が寄付を行ってくれるという事実に気づけば、住民は島に住んでいる受益に対して応分の負担を負うのは当然であるという意識が生まれ、・・・この意識の変化は現在の住民税滞納状況に何がしかの良い影響を与えることが期待できるのではないだろうか。こうして住民の自治に対する意識が高まると、議会がさらにその役割を存分に果たすようになり、村長のリーダーシップは外部にある無形財産との強い連携を生み出す。そこに小さな自治体でも内部と外部が手を携えた形での自立を実現できる可能性があるのではないだろうか。」
今日は都市計画審議会、明日からは常任委員会、3月6日からは予算審査特別委員会と続いています。頭がパンクしそうですが頑張ろう!
2014年2月24日|お知らせ,コラム
今年も入学・入園悲喜こもごもの季節となりました。
自由選択制の区立中学校は一般に新築校舎の学校が人気で、今年は音羽中と六中が抽選となりました。もともと人気の高かった六中は新築で案の定105人定員のところ332人の応募があり、さあ大変!と思っていたところ、就学通知書に対する入学了知の回答はなんと47人。2度びっくりです。
もっともこの数は2月19日現在のものですから、今後私立国立の入試結果を受けてあとから来る了知書もあり、抽選で外れた方の復活もあり、最終的には定員割れはないと思われます。しかし伝統ある古い学校でも2/19現在の入学予定者が定員の1割強という学校もあり、こちらは危機的です。
誰でも地域の学校に無条件で入学でき、近所の幼馴染の悪童たちとのびのび戯れられるのがメリットだった区立学校でのこうしたハラハラドキドキには、時代が変わったでは済まされない違和感を覚えます。
ところがもっと深刻でショッキングなのは保育園事情です。認可保育所の拡充施策を打ち出した文京区は、それを狙って転入する世帯も多く、イタチごっことなっています。特に幼稚園の預かり保育の対象外の0~2歳児は定員615人に対して1100人の応募があり、地域によってはポイント28でも入園不承諾となっています。0~5歳全体の1次選考での不承諾は593件で、昨年の456件と比べると茫然自失の感があります。定員は300人以上増やしたのにです。いったいどんだけ増やせばいいんかい?
どこの自治体でも子どもを預けて働きたい潜在的需要は多く、保育園の増加とともに顕在化したというわけです。
私の義姉は40年以上前、2か月児を保育園に入れて職場復帰しましたが、勤務先が病院だったので院内保育所に入園させたものの、迎えに行ってくれる人、家で見てくれるベビーシッター、そして帰りが遅くなるときはおばあちゃん(実母)、と3重4重保育でした。それに比べれば今の保育事情は費用の点でも格段の進歩ですが、そうは言っても預かり先が見つからなければ一組の親と子どもの困窮は少しも救われません。
人口増加はここ10年以内でその後は減少と言われていますが、都市部の急増地域では、マンション建設に保育園設置や協力金を義務付けるなどの対策をとっています。江東区、中央区、新宿区、杉並区などですが、それ以外にも職場内や駅の近くなどの保育所設置も増えています。
ほとんどの病院は医師や看護師のための保育施設を併設していますが、遠くから通う人は朝や夜のラッシュ時に赤ちゃんと通勤するのは困難です。各病院の提携協力で、住まいの近くで院内保育所を融通し合うシステムを考えてもいいかもしれません。知人の女医さんが千葉県内の病院に通うのに首の座らない2か月の子を連れては通えないと困っていますが、都内の病院で千葉から子連れで通っている医師がいたら、保育所バーターも可能ではないでしょうか。とにかく4月から働きたいと思って文京区に越してきて出産した人たちのためにも最大限知恵を絞って施策をしたいものです。
保育課は2月28日締切で2次集計をして、3月5日期限で3園までの申請先の変更を受けつけるそうです。しかし、どこの保育園が入りやすいか、どの地域が混んでいるかなどの相談には応じないとのこと。せっかく相談窓口を設けても一番知りたいことをおしえないなんて、、、文京区らしいかな。
2014年2月16日|コラム
何度もすみません、都知事選の「総括」が出そろったようです。いろいろな立場からメールをいただき、読み比べました。
今回の都知事選はさまざまな立場から期待がかかり、反原発で盛り上がったりもしましたが、結局は徹底した組織選挙、自民党らしい地上戦の選挙でした。共産党・社民党も組織選挙をやったつもりかもしれませんが、赤旗新聞での宇都宮さんが勝利したかのような評価を見ても、無党派層の心理に無頓着で、自党内のアリバイ選挙に終わっていました。都政から安倍政権に歯止めをかけたい、脱原発で社会の趨勢を変えたい立場の人たちの受け皿はなかったと言えます。共産党アレルギーと小泉構造改革アレルギーのはざまで仕方なくどちらかを選んだ、あるいは棄権したか赤坂さん家入さんに投票したというところでしょうか。
実際区政の中から都政を見ていると、問題のすべての元凶が小泉政権からの新自由主義や自己責任論、特区、規制緩和にあるように思えることが多いのです。もちろんそういう構造改革をやらねばならなくなった歴史まで、すべてが小泉さんのせいとは言いませんが、あそこで民に任せず公的福祉社会に舵を切っていれば、税制改革も必要になっただろうし、今違った社会があったかもしれないといつも私などは思い続けています。
それとやはり、自民党総裁選に勝てば総理大臣になる議院内閣制と二元代表の都知事選は違うのです。都政の争点になりにくく差がつきにくい部分、言うは易く行うは難い部分、福祉・防災・雇用などは二の次という姿勢には抵抗がありました。原発に賛成か反対かというトピックについては態度がはっきりしていても、それだけのワンイシューではまとまれません。人権や差別の問題も不安でした。自民党LOVEで息子も自民党の小泉さんが安倍政権とどう関係を築くかも見えません。
一方、宇都宮さんは前回は市民運動の中から立候補しましたが、内紛や諸事情があり、でも候補者を決めないわけにいかないと判断して、早々に立候補声明を出したそうです。今回は2度目なのだから早く決めなくてはならない理由があったのか疑問です。共産党と社民党がさっさと推薦したため、政党色がついて無党派層が逃げ、逆に裾野を狭めたという感を免れません。共産党はおおむね正しいことを言っているのに、まず党名からして、次に上から下までのその手法や話法からしても、自由主義、民主主義とは思われていないところが痛いですね。実際、某宗教系政党と違い、言っていることと行動が違うということはないし、中央本部から押しつけられていることもなさそうなのに、どうしてか党是や綱領に縛られているように見られてしまう損な性分なのでしょう。
都政新報2月14日付の「あんぐる」で選挙戦を取材した3人の記者による鼎談、都知事選顛末記を載せています。ある意味夢がなくつまらないけれど、シビアで地に足の着いた評価が興味深いのでご紹介します。ただし会員限定かも。
https://www.tosei-d.com/PB3830PCS_000/viewpaper.php?_P=viewpaper&_B=thumnail&dummy=1392528062567
ところで舛添知事は当選後すぐに、保育所待機対策として都有地を10分の1くらいの賃料で貸すとか、駅ナカ保育所の構想を打ち出し、そんなに軽く言って大丈夫かなと思ったのですが、案の定、都有地は条件が悪いところしか残っていないとして撤回し、国家公務員宿舎跡地などの国有地にターゲットを切り替えたようです。
http://news.goo.ne.jp/article/asahi/politics/ASG2C51NKG2CUTIL00F.html
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014021502000114.html
やっぱりねという感じです。そんな簡単なものならとっくに施策されていたと思います。しかし、駅のコインロッカーのような安直な保育所は不安ですが、国有地は有望です。
一等地にあった公務員宿舎はだいぶ放出されましたが、まだまだ条件のよいところがあります。文京区内でも我が家の近くだけでも大蔵省、最高裁判所の官舎などがあります。大蔵省の方は今タイムズのコインパーキングになっていますが、以前に区の何課だったか課長さんに区立施設にどうかと持ちかけたとき、高すぎるとにべもなく断られました。最高裁の官舎も1年以上空いていますが、10分の1と言わず3分の1でもいいので、交渉して活用すべきだと思います。
2014年2月13日|コラム
45年ぶり27センチの大雪翌日の都知事選挙、みなさま投票に行かれましたか?
史上3番目に低いという投票率46.14%は、前回2012年12月より16ポイントも低く、
文京区はそれでも都内(島しょ部を除き)で最高の55.61%でしたが(前回は68.85%)
雪のせいとばかりは言えない選択の難しい選挙でした。
一部の新聞をのぞき、候補者の政策がメディアにあまり表明されず、人物観のみが
選択肢になったことも原因と思います。
しかし何より、430万人もの支持で当選しながらあまりにも無責任で見識の低かった
前知事に、都民が選ぶ意欲をそがれたことも大きかったと思います。
私自身は、告示直後は即時脱原発の宇都宮・細川候補の一本化を望みましたが、
それぞれを支持する人たちの考えがわかってくると、脱原発は同じでも動機も思想も
当然違うことに思い至り、どちらがより当選に近いかで悩むようになりました。
脱原発派なら誰もが悩んだと思います。
しかし、両候補とも相当の覚悟を持って真剣に臨まれ、それぞれに手ごたえを
感じていただろうし、結果的にあれだけ拮抗していたのだから、一本化はしょせん
無理だったと今は思っています。
結局私は、「潔く反省」もよいけれど、沖縄にも朝鮮にも「徹頭徹尾反差別、弱者に寄り添う」、
つまり一昨年と同じ、初心に戻りました。
細川・宇都宮両氏の得票を合わせると当選者の票に肉薄していますが、かといって
即時脱原発候補が1人だったとしたら2人分の票が入ったかというと、それはないでしょう。
ただ、報道されているように、舛添さんも脱原発を不本意ながら言わざるを得なくなった
ことは一定の成果ですし、2人立ったことで脱原発票が2倍になったのですから、
原発を推進したい政府に対して、より大きな抑止力となり得ることは最大の成果です。
前向きに考え、今後の都政にたゆまずチェックを入れていく実質的な力に変えていきましょう。
名護市では県知事の辺野古埋立承認や基地整備に反対する稲嶺市長が当選しました。
自治体も国も、政府を変えるのは市民の力しかありません。
新知事は今のところ前任者のように頭ごなしではなく、異論にも耳を傾ける態度を
示しているようですが、早くも以下のような疑惑があがっています。
火のない所に煙は立たぬと言いますが、煙の立つすきのない、人品卑しからざる知事が
渇望されます。
もし問題発言や態度が今後も高じるようなら、前回同様やり直すしかないのですが、
新知事には、都民にこんなことを何回も繰り返させないよう、心に深く誓っていただきたい。
都民=私たち自身も、もし再度このような任期満了前の投了があったときには、選んだ側の
見識の低さを深く反省し、自治とは何か、どういう人をリーダーに選ぶかを熟考すべきと
肝に銘じるべきです。
2014年2月9日|お知らせ
とにかく緊急連絡。危機的状況です。 http://www.city.bunkyo.lg.jp/sosiki_busyo_senkyo_tochiji26_sokuhou.html
いつも都内トップの投票率を誇る文京区ですが、今回は前回より10ポイントも低い16時現在28.45%。(前回2012,12月は38.35%)
ということは各自治体もそのくらい低くなるのでしょうか。
雪のせいばかりとは言えない低投票率。NHKはじめマスメディアでの争点隠しが取りざたされていますが、高じて全体に選挙隠しになっています。
このところほぼ毎年の都知事選で、ここ2回は理由を問わず知事職投げ出しによる改選です。確かにあきらめムードもあり、オリンピック開幕、記録的大雪、同日選挙ではない単独選挙という悪条件もありますが、選挙にかかる税金は1回につき約50億円。3回で150億円です!
今度こそ税金の無駄にならない信頼できる知事を選ばねばならないときにこんな低い投票率では、大きな課題をいくつも抱える首都東京として恥ずかしい。
将来に悔いを残さぬため、気温が低くなる前に、転ばぬように気を付けて、まだの方はぜひぜひ投票に行ってください!
東京都知事選挙投票状況【文京区】
|
今回 |
前回 |
投票者累計数 |
投票率(%) |
投票者累計数 |
投票率(%) |
計 |
男 |
女 |
計 |
男 |
女 |
8時 |
200 |
100 |
100 |
0.12 |
300 |
200 |
100 |
0.18 |
9時 |
300 |
200 |
100 |
0.18 |
2,400 |
2,000 |
400 |
1.46 |
10時 |
2,400 |
1,700 |
700 |
1.44 |
8,500 |
4,900 |
3,600 |
5.18 |
11時 |
7,500 |
4,500 |
3,000 |
4.51 |
18,100 |
10,000 |
8,100 |
11.03 |
12時 |
13,100 |
7,100 |
6,000 |
7.88 |
27,500 |
14,500 |
13,000 |
16.77 |
13時 |
21,600 |
11,300 |
10,300 |
12.99 |
37,800 |
19,400 |
18,400 |
23.04 |
14時 |
29,600 |
15,300 |
14,300 |
17.80 |
46,400 |
23,500 |
22,900 |
28.29 |
15時 |
38,200 |
19,500 |
18,700 |
22.98 |
55,000 |
27,600 |
27,400 |
33.53 |
16時 |
47,300 |
23,500 |
23,800 |
28.45 |
62,900 |
31,100 |
31,800 |
38.35 |
17時 |
– |
– |
– |
– |
71,300 |
34,800 |
36,500 |
43.47 |
18時 |
– |
– |
– |
– |
78,500 |
38,100 |
40,400 |
47.86 |
19時 |
– |
– |
– |
– |
84,600 |
41,000 |
43,600 |
51.58 |
20時 |
– |
– |
– |
– |
91,878 |
44,381 |
47,497 |
– |
期日前投票 |
– |
– |
– |
– |
20,401 |
9,237 |
11,164 |
– |
不在者投票 |
– |
– |
– |
– |
651 |
288 |
363 |
– |
総計 |
– |
– |
– |
– |
112,930 |
53,906 |
59,024 |
68.85 |
|
2014年2月5日|コラム
「東京に公園を造った男」井下清(いのしたきよし)を知っていますか?
明治から昭和にかけて東京都公園緑地課長として多くの公園や墓園の造成に尽力し、生涯を公園緑地の発展にささげた人です。その研究熱心で誠実な人柄が渋沢栄一や岩崎弥太郎などの信頼を得て、井の頭公園・六義園・多磨霊園・清澄庭園など恩賜公園や寄付公園を多数手がけ、「貰い頭(もらいがしら)」の異名をとったそうです。
文京区でも大塚公園や震災復興小公園の元町公園・旧新花公園などの設計・監修をしましたが、折しも4月からの新年度、区では元町公園・旧元町小学校の保全活用検討と新花公園の再整備計画にかかります。これまで文京区が改修にお金をかけて保全してきたからこそ、これらの由緒ある素晴らしい公園が今の形で残っていることに感謝しています。
今年は彼の生誕130周年であり、また彼が設立した東京都公園協会の60周年にもあたり、日比谷公園では「緑と水の市民カレッジ」で2月27日まで特別企画展「井下清と東京の公園 緑に生涯をかけた彼の哲学」を開催しています。掛け値なしに面白い、ぜひご覧ください。 https://www.tokyo-park.or.jp/event/2013/12/i.html
これに合わせて都政新報1月21日づけに特集記事が掲載されました。こちらもとても面白いのでお勧めです。
https://www.toseishimpo.co.jp/modules/news_detail/index.php?id=2548
公園協会の広報誌「緑と水のひろば」74号の特集記事「東京緑地計画とその遺産」では、都市計画とは何かについて、東京大学大学院准教授小野良平さんが感銘深い考察をされています。
1919年の都市計画法制定により公園が都市になくてはならない施設として位置づけられたが、同時に都市計画法は「風致地区」という公の所有ではなく地権者所有の一定地域に開発制限をかける制度も設けた。ご承知のように第1号は明治神宮内外苑で、その後、洗足、善福寺、石神井、多摩川などが指定された。風致とは、自然と歴史が醸し出す良好な環境というような意味だが、この制度は住環境として地域全体の質を維持する発想に基づき、辺縁部の良質な宅地を無秩序な都市化から守る狙いがあったようだ。立役者は井下より10才ほど若い内務省都市計画課技師、北村徳太郎。北村は、病気にならない環境づくりを志向し、風致地区にとどまらず「東京緑地計画」へと壮大な夢を結実させた。 https://www.tokyo-park.or.jp/parkfriend/download/
74号は最新号で、まもなくアップされると思います。
3月17日には文京区で絶対高さ制限を定める高度地区指定の都市計画変更が施行される予定で、4月からは区条例の風致地区条例も施行されます。高さ制限や風致地区が個人の財産・利益の侵害になるという根強い考えがあり、高度地区指定を撤回せよとの署名運動や陳情が宅建業協会などでおこなわれていますが、小野さんの論考を読むと、空地や空間、光や緑の豊富な秩序ある住環境をもたらす都市計画、すなわち公園計画や高さ制限や風致地区規制は、そのまちに住むすべての人の健康と文化的生活のためであることがよくわかります。
良い景観や住環境は、個人の経済的な利益のためではありませんが、資産価値を上げるも下げるも計画次第であり、究極的には財産とも言えます。新年度、都市計画部の組織変更がありますが、公園緑地は大事な都市計画なのに土木部、開発建設は都市計画部と分かれる縦割りはそのままで、井下や北村の描いた壮大な夢の延伸には期待できそうもありませんが、住環境の維持をめざし乱開発を規制しようとした卓越した技術者が大正の時代の都市計画行政にいたということは感慨深いものがあります。今、都市計画行政を担う人たちには、当初の理念に立ち返り、永遠などそもそもあり得ない個人の財産を振りかざし計画の撤回を迫る勢力に敢然と抗弁していただきたいと切望します。
