第六中学校、豪華にお披露目

文京区立第六中学校が全面改築され、内覧会に行って来ました。六中20131124間接照明
一見三田の某大学と見紛うような赤煉瓦のファサード、オープンスペース風の広い廊下、打ちっ放しのンクリートと木質素材を組み合わせた内装、開放的な採光、ホテルライクな階段の手すり、スライド開閉式ガラス屋根の屋上プール(夏場以外は人工芝の蓋をして遊び場となる)、凝ったLED照明、極めつけは追分ホール(ランチルーム兼)の村野藤吾を思わせる間接照明、などなど、デザイナーズブランド(香山寿夫建築研究所)の趣が加わりとてもゴージャスです。

一緒に行った息子(卒業生)やその友人たちは、中学校とは思えない、豪華マンションみたい、と羨ましがって(あきれて?)いました。私としては、木材がふんだんに使われているのも嬉しいし、毎日通う学校が明るく素敵なデザインで、子どもたちが満足しているなら嬉しい。けれど、完全自由選択制の区立中学のバランスは大丈夫かな?心配になってしまいます。バランスはもうとっくに崩れてるかな。。。六中20131124エントランス

細かいところでは、OSB(オリエンティド・ストランド・ボード)パネルの多用(何か意味があるのかガイド役の職員?に聞いたところ、コルク材などと同じ柔らかさとピンの刺しやすさかな?と自信なげでした)、窓先空地がなく、窓を開けるとストンで怖いこと(6階建てとなると窓は全部は開かないのか?)、大画面電子黒板の液晶が見にくかったこと(暗くすればいいけれど子どもの目が心配)、が気になりましたが、教育環境として他にも問題があるかも知れません。でも子どもたちは格好いいとさぞ喜んでいるでしょう。しばし子どもたちと一緒に素直に喜びたいと思います。

来週視察に行く予定の、埼玉県宮代町の笠原小学校を設計した象設計集団の富田玲子さんは、その著書『小さな建築』(みすず書房)の中で、学校の設計について述べています。

「学校は子どもたちの暮らしの場、毎日長い時間を過ごす小さな社会です。小・中学校時代は、人間の感性が最もしなやかで、心身の成長がめざましい時期です。・・・そのような大切な時期にどんな校舎で暮らすのかということは、その人の一生を左右すると言っても言い過ぎではありません。もちろん教育内容、友だちや先生の存在も大きな要素ですが、「空間のあり方」が子どもの生活に及ぼす影響ははかりしれません。そう考えると、学校の設計は大変難しく、しかも責任の重い仕事です。」

かつてオープンスクール建築が一躍脚光を浴びた頃、今巨大すぎる新国立競技場設計に異を唱えている槇文彦さんも加藤学園の設計で話題になりましたが、その絨毯敷きのお洒落な校舎でさえ、後日問題が多々生じたようです。時と場、地域性によっても求められるものは違います。今の時代に最大限の注意と熱意で設計しても、問題が生じる可能性はあります。日本は欧米と違い、竣工後は施主の責任のみで設計者は一切責任を問われませんが、それだけに文京区の教育委員会や行政には、子どもの生活、子どもの社会という視点を忘れずに、今後顕在化するであろう様々な課題を、ひとつずつ丁寧に解決していっていただきたいと願っています。

 

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