東京の国際競争力って・・・

NSRI(日建設計総合研究所)フォーラム 2013 特別講演会を聴講しました。

たたかう東京 ~世界都市・東京の底力を引き出す7つの提案~

講師:伊藤滋さん(早稲田大学特命教授、森記念財団理事長)
www.nikken-ri.com/forum/

小泉元総理大臣や亡くなった森ビル会長森稔氏と親交が深かったようですが、特に森氏とは一心同体とも言える論理のように聞きました。世界都市総合力ランキングなる都市間競争の論理は、森氏の主張とほぼ重なり、海外から人を呼べることを評価の軸とし、そのために超高層ビルで高容積化、住みやすく仕事がしやすい街にする。国際居住区をつくり、羽田空港6滑走路化、リニア新幹線の延伸、品川地域再開発などなど。

さすがに東京の人口減少が始まる2030年以降は細やかな公共事業を数多くと言っていましたが、行政にはスピード感がないと言い、民主導をモットーとしながら、2030年の最終限度までに、土建業界が最大限儲けるための官民一体の確信犯的駆け込みの勧め、とでもいう感じに聞こえました。

このフォーラムの定員は通常100人のところ、今回は定員50人、しかし会場は通常のNSRIホール(定員120人)ではなく定員610人の日経ホール、それでも超満員で廊下にあふれていたところを見ると、少なくとも550人は招待客か関係者だったのでしょう。最前列には元国交省や都庁の役人もいたようです。

伊藤氏は82才、ご自分でも死ぬ前に言いたいことを言っておくと何度もおっしゃっていたように、要するに都市生活から居住性や子育て環境や日照権や強風で飛ばされない権利やコミュニティなどの要素を排除し、地震国日本の大都市の脆弱性も無視し、SF的ハイテク未来都市的妄想を差別語を交えて壮大に語った夢物語でありました。

その中にちらっちらっと鋭い現状分析が混じるから恐い。550人もの背広族のディベロッパーやゼネコンや役人たちが、そこだけいいとこ取りして、せっかくできかけた絶対高さ制限を緩和したり、困ったことがおこるのではないか、とても不安になりました。週末は谷根千や神楽坂に住み、平日は香港やシンガポールで仕事をするというライフスタイルや、容積率緩和で2000%もの超高層ビルを23区内に7棟もつくるという戦略には唖然とするばかり。

以下私のメモから。数ヶ月後にはNSRIフォーラムのサイトに要旨がアップされますのでそちらを参照してください。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

●世界共通文化のオペラを上演するメトやオペラ座クラスの大ホール建設と、エキゾティシズムの代表、歌舞伎の活性、カジノなどの歓楽施設、江戸城天守閣の復元など、東京のエンタテインメント性を高め、世界から評価されるまちにする。

●新防火地域の山手線内の安全化を徹底する。木造は一寸板厚で2分5厘までしか燃えない不燃化工法が確立しているが鉄骨は危ない。神楽坂や谷根千は木造のまま不燃化し防犯灯や監視カメラで安全・安心のまちにする。そこに海外からコーケイジアンを集める。

●都市計画決定は無用。総合設計もわかりにくいから不要。都計審は特定政党の議員が意見を言うだけであとは予定調和で意味がない。事前打合せは時間がかかりすぎるからいらない。イギリス型の専門家と建設業と役人の計画裁定プラットフォームにすれば良い計画がスピーディにできるはず。

●慣習化した計画標準・技術基準を根本的に改め、駐車場付置義務は廃止、消防法も見直し。23区はピンキリでキリの区の役人は区議会議員が恐くて何もしない。都に都市再生特区で一気にやらせる。

●地区計画の成立要件を緩和し、地権者合意は最終的に過半数にする。都心部の高容積化、赤坂などの商業地域は容積率を一律500%にすれば日影規制がなくなり、まちが元気になる。大丸有は1000%では少ないが、三菱地所の体質があるので仕方ない。東京駅の東側は面白い街。2000%でどんどんつくれば神田あたりの古いビルはガラガラになるが、そこまで心配したら民主党になってしまう。(やはり550人の背広軍団は自民党支持者なのか)

~~~~~~~~~~~~~

地域主権や住民福祉など全然頭にない様子で、まさに暴言・妄言炸裂。こういう方は最近けっこう政界にもお見受けしますが、死ぬまでにまだ20年くらい、ことによるとじきに介護を受けながらビル風の街で生きなければならないとしたら、どうするのでしょう。日の当たる涼風のおだやかな街に住みたい人はどこに行けばいいのでしょうか。高容積化でほんとうに住みよいまちになるのでしょうか。

なによりも、ほんとうに東京は世界の都市と闘わなければならないのでしょうか。

 

 

*