11才へのワクチン接種は費用対効果が目的?

「子宮頸がん征圧をめざす専門家会議」に質問を送ったところ、「子宮頸がんゼロプロジェクト」事務局から下記のような回答がありました。
【質問】
「予防ワクチンの接種について悩んでいる方へ」という文書の中のアドバイスに、「1回または2回の接種後に妊娠した場合は、その後の接種は出産後に継続します」と書かれていますが、11歳でワクチンを接種する理由として、初めての性交渉の前に接種しなければ意味がない、または効果がないということが挙げられていたように思います。
このことの整合性がわかりません。
3回の接種の間に妊娠出産があるということは、おそらく初回接種が性交渉後、また少なくとも16歳くらい以上という想定だと思いますが、そうだとすると、11歳で定期接種をする必要は必ずしもないということになります。性教育や性感染症予防の知識もない11歳で、理解ができないのにワクチンを受けなければならない理由がよくわかりません。
その辺の理由と整合性をご説明ください。
また、男性へのワクチン接種はまったく話題に上りませんが、必要ないのか、必要ないとしたら理由は効果がないからなのか、それとも男性の方が副作用がより強く出るなどの理由があるのか、あるいは発病するのは女性だけだから女性だけで防御するべきとお考えなのか、などなど相応の理由があるものと考えます。
上記2点の理由を併せてご教示いただけますよう、よろしくお願いいたします。
【回答】
HPVはとてもありふれたウイルスですので、だれもが感染します。ですから、多くの女性にとってワクチン接種は有効だと思います。
ただし、公費を使って接種をする場合にはなるべく無駄の少ない(費用対効果の良い)年齢を対象に接種すべきです。麻疹(はしか)のワクチンを接種するのは、麻疹に罹りやすい年齢の前に接種するのと同じ考え方です。ですから、まだHPVに感染していない年齢、セクシャルデビュー(性交渉を始める)以前の12歳前後の女性たちに接種することが公費を使う際には効率的と考えられます。――それ以上の年齢だとワクチン接種の意味がないと?
そうではありません。12歳の女子に接種した場合には、70%以上の子宮頸がんの発生を予防できます。一方、20歳ではその効果は60%程度に低下します。実際に日本で、20-25歳の女性でHPV16または18型を持っているのは約10%であり、この方には予防の効果はありません。しかし、その人たちに接種しても、その治癒には効き目はありませんが、自然治癒したあと次にHPV感染することは防ぐことはできます。
感染している人に接種しても何の問題もありません。副作用も強く出ませんし、もちろん、がんにかかりやすくなるということはありません。
中高年ですと感染の機会は減りますが、45歳までの方は接種の有効性は示されていますし、55歳まで安全が確認されています。たとえ、お金がかかったとしてもがんのリスクをなるべく下げたいという方には接種してもいいと思います。ただし、成人女性にとって、ワクチンよりも重要なことは必ず検診を受けるということです。

男性への接種も有効で、集団免疫として作用し、女性の子宮頸がんを減少させますが、男性の肛門癌(90%)や陰茎癌(50%)の減少も期待できます。オーストラリアやアメリカでは、すでに実施されています。しかし、財政的な理由と費用対効果の点から、まず、女性が対象とされています。費用さえあれば、男性への接種も将来的には望ましいということになります。
成人女性および男性への接種も重要な課題ですが、残念ながら日本では(とくにマスコミのレベルでは)まだ、正しい知識が普及していません。

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なんとも腑に落ちないものがあります。11才の子どもへの予防ワクチン接種の目的が費用対効果ということのようですが、法による定期接種の社会的効果とはなんなのか。 その辺がまったく論じられていません。
子宮頸がんは麻疹のように学校に登校するとクラス中に感染するというものではありません。 ワクチンには本人が子宮頸がんにならないための効果は当然あるとしても、それは問題ではなく、11才に法定接種する社会的効果が問題なのです。
社会的目的は子宮頸がんの治療に要する医療費削減なのか、それとも将来生まれる子供の数の減少を防ぐことなのか。 そこを明らかにしない限り公費投入の意義はないと言わざるをえません。 しかし、もし前者なら、たばこの大幅激変値上げの方がよほど効果が高そうだし、後者ならワークライフバランスのポジティブアクションでM字カーブを解消したり、若者の就労支援に公費を投ずる方が絶対に重要なはずです。
一方、性教育、感染症予防、副反応などの説明、理解、納得、自己決定権、などについてはいっさい言及なし。 推進派の理論は不十分です。
やはり定期接種は中止し、自主選択による希望接種に対する助成・補助にするべきではないでしょうか。

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