行政の無謬性

一昨日、都市計画審議会がありました。議題は絶対高さ制限の第4次素案ですが、
なぜ4次素案が?と思われた方も多いと思います。
区は第1次素案のときから、第3次の次は都市計画原案に進むと、ずっと区報でも議会でも
区民説明会でも明言してきました。毎回、パブコメなどの意見で少しずつ改善され
疑問は残っていますが今に至りました。
地域性を勘案した他区にはないきめ細かい独自の工夫もあったと思います。
ここへ来て区民をいわば裏切って4次素案を出したのは、東京都との協議で変更を求められた
からだと区は言っています。しかし早期策定を望む区民は驚きとともに苛立ちや憤りさえ
感じています。
「行政の無謬性」という言葉があります。行政は過ちを犯さない、たとえ間違ったとしても
認めてはならない。行政は間違わないという前提で施策をしないと、何が本当に正しいのか
結論が出ず、間違いを認めてしまうと問題が大きくなり収拾がつかなくなり、責任だの賠償だの
訴訟だのと面倒になったり、住民に混乱が起きたりするからなのか、
とにかく重大なミスほど謝らない、理屈をつけて言い訳をすることになっています。
しかしそのことがますます混乱を深め、なにより区民のためになりません。
時間と労力を無駄にすることになる区民はたまったものではありません。
区政にもまち自体にも禍根を残します。
行政が重要な計画案を出したからには、区民意見以外の理由では変えないくらいの完成度で
責任をもって出していただきたい。

都との協議記録を見ると、都が言っていることは初めからわかっていることばかり。
協議をきちんとおこなって来さえすれば、1年前に第1次素案で反映できたはずです。
都や周辺自治体と情報交換し相談しながら進めてきたというのは嘘だったのか、
都も区民を翻弄することになるのを承知で3次素案まで黙っていたのだとしたら、
行政は無謬どころか誤謬だらけ。
都市計画審議会では行政サイドや区長与党会派は打合せ十分という感じで、傍聴席が
区議会議員ばかりで区民が少なかったこともあり、余裕の進行でした。
抽選になるだろうと思っていただろうに、がらあきの状況を見て行政や学識委員などは
さぞほっとしたことでしょう。
東京都の第六建設事務所長が「区民に広報するときは、東京都に言われて変更したと言うの
ではなく、区のために良いという判断で自主的に変更したと言う方がよい。」という趣旨の
意見を述べていましたが、区と都の責任のなすりあいのようで、まさに「行政の無謬性」の
矛盾を露呈していました。
高さ制限が実施されれば既存不適格となる規制値より高い建築計画の駆け込みが増えて
きており、高さ制限の導入を期待して大型マンションの着工を抑えようと必至でふんばって
きた地域住民も限界に達しています。区は絶対高さ制限の駆け込みというよりは消費増税の
駆け込みだと強弁していますが、どちらにしても既存不適格が増えているのは事実です。
都の考え方は
・高さ規制をボリュームコントロールに使うべきではない。容積は用途地域の変更で
ダウンゾーニングするべき。
・現状の街並みと指定容積が乖離しているところ、前面道路幅による容積率低減がある
ところなどは、地区計画、用途地域変更などで対応すべき。

ということですが、ダウンゾーニングを最も強く求めていたのは私たちの方で、区は
高さ規制が突出した高さを抑えるから、建ぺい率が全部使えない場合などボリューム
コントロールになると言ってきたのです。用途地域による指定容積率と実際に使われている
容積率との乖離は最初から区民が指摘してきたことですが、用途地域はいじらないと
区は言ってきました。
なにしろ早く高さ規制をしてほしい区民は、やむなく妥協して早期実現に期待していたのです。
用途地域の変更はそれだけでも1年以上かかるのだから、今頃になって無理難題を突きつける
都も都です。
肉1ポンドよこせと言っているシャイロックのようです。いっそ1滴も血を出さないでとれる
ならくれてやる、と迫っては?
つまり住民アンケートでもして望む用途にただちに変更し、駆け込みを防いでくれるなら
応じるよ、と。
メニューが多すぎるという指摘もありましたが、文京区の場合もともと起伏に富んだ多様性を
誇るまちで、都心地区や主要道路沿道でも後背地にすぐ住宅地が隣接するという特殊性があるのに、
都は机上の理論のみで歴史性や地域性を理解していないようです。
もっと地域主権を尊重してほしいものです。
高さのメニューは、23区内だと平均4種くらいのところ、文京区は13種でしたが今回9種に
絞っています。区の魅力を高めるきめ細かい独自の手法と区はこれまで言っていました。
都の要求通りに改定すると、「歴史と文化と緑に育まれた文の京」の特性を失い、違うまちに
なってしまうように思います。都市マスタープランや基本構想をもっと尊重してほしいものです。
訴訟対応を言っていますが、そもそも都市計画の不備で突出したボリュームや高さのものが
計画されるから訴訟になるのであり、だから規制値を高くするとか容積消化とかいうのは本末転倒、
悪循環を招くだけではないでしょうか。住環境を蹂躙されている住民のことを第一に考えてください!
1次から3次までの区民意見で変更したところはそのままで、これまで意見が出なかった木造密集
地域の部分を共同化できるように高くするのだから異論はないだろうというような区の見解は
おかしいです。これまでは15mで納得していたから意見が出なかったのであり、18mになれば
低くしてほしいという意見が出るかも知れません。
最後に、都は木密不燃化特区の推進で、大手町・丸の内・有楽町のような容積移転の手法も導入する
方針です。幸い今のところ特区は文京区内にはないですが、今後どうなるか安心できず、
もし容積移転などをこの区に導入したらとんでもないこと、まちが壊れます。
都市マスや基本構想を遵守し、「歴史と文化と緑」を基本として、地域特性・地域主権の本筋を通し、
いったん低くしたものを覆したりせず、経緯を尊重して決定した上で、今度は現状と乖離する用途地域
や容積率をていねいに改定し、地区計画の可能性があるところには指導していくという方法を探って
いただきたいと思います。

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