空中戦
選挙が終わって1週間、今日はクリスマスイブです。毎年恒例の会派から区長・教育長への区政要望も今年はクリスマスプレゼントに間に合いませんでした。目下鋭意まとめ中。よって掃除もまったく手につかず、これから4年ごとにこんなクリスマスイブを迎えるかと思うと、ほんとうに腹立たしい、どなたかがおっしゃった自爆テロ解散です。
選挙前になんどか選挙について触れた手前、少し総括をしておきます。
今回の都知事選挙は空中戦と言われましたが、ほんとうにそうだったのか。空中戦とは、街頭で不特定多数に向けて名前を連呼したり、実体のないアピールの言葉だけが飛び交う選挙、あるいは文字にせず口頭だけの論戦、という意味で使われるようですが、要するに地に足の着かない空疎な戦いということ。
私の応援した宇都宮弁護士については、当初福祉や産業振興などについて実体がわからないという批判を受け、実際そういう面もありましたが、準備期間がなかったためでもあり、17日間の最後の方ではとても充実した政策を論じていました。当選した猪瀬氏の方は、石原都政の継承で安泰だったということもあり、隈無く政策を論じる必要もなく、空中戦すらしなかったようです。
しかし、脱原発や人権問題、貧困や格差の解消など宇都宮さんの強調したかったことはあまり政局とはならず、福祉を切り捨て、オリンピックや新銀行東京、築地市場移転など目立つお金のかかることばかりに熱心で差別的だった石原都政を都民はどう考えているのか、このまま強者の論理で突っ走ることを望んでいるのか、首を傾げるばかりでした。
東京という大選挙区でただ一人の首長を選ぶ代表選挙と、各自治体選挙区での議員選挙とではやり方が違うことを実感しました。東京都全域は広すぎて1ヵ所にかける時間が少なすぎます。とはいえ、大選挙区での選挙でも、それぞれの地域性にあったやり方を地域が主体でおこなわないと、少なくとも追い上げる立場の候補にとっては命取り。そこを見誤って空中戦で対抗しようとすると、惜敗率の差に見られるような自治体格差ができるのかもしれません。結果として全域で広く深く票を得ることができず、大差になってしまいました。
大東京の首長選では知名度の低い候補者にとっては目立つパフォーマンスなどで大きなうねりをつくることは絶対に必要でしょう。今回、勝手連が都内各地域に多数立ち上がり、それらが連携してパフォーマンス軍団のような活動をしました。しかし、それとは別に各自治体での地道な掘り起こしと浸透が必要なのも確かです。
大きなうねりを求めるあまりパフォーマンス軍団が都内全域をカバーすることにエネルギーをかけすぎると、空中戦に拍車をかけ、特に支持層が薄くほとんどコアメンバーしかいない地域では、コアメンバーだけが上滑りして流浪し、繁華街で目立ちはしても、人々はおもしろがって眺め囃し立てるだけ。これを共感を得た、手応えがあったと勘違いするととんでもない。お風呂をたくときのように、表層部だけが沸き、下層部は冷めたままで、飛び込んで震え上がることになります。今回は少しこの現象がありました。
さて、今後市民派としてはどうすればいいのでしょうか。
あたりまえですが、政治を生活の道具として日常的に考える人たちを増やすことが大事です。同時にどういう社会を今後つくっていくか、私たちはつくっていきたいかという基本の部分を確認し、その部分での共感・合意を拡げていくことが大事だと思います。
具体的には脱原発でもいいのですが、そこから発展し、原発の差別構造と通じる社会全体の差別構造をいかになくしていくか。男女平等の問題、自治体の首長と議会内会派の問題、癒着構造や利権の問題、非正規雇用の問題などなど。
勝手連はこのまま解散ではなく、議会ウォッチ部会、広報部会、各課題の部会などをつくり、市民力を高めていければと思います。そして、仕事や介護育児など生活のために一時離脱したとしても、次の機会にまたこのレベルからスタートを切ることができれば次は市民派が勝てるかも。惨憺たる年でしたが、来年以降に希望をつないでいます。
ところで都知事選同様大差がついた衆議院選挙ですが、どうやらこちらも空疎な空中戦だったようです。報道では自民党の原発政策判断10年先送りについて評価しない人が46%で評価する37%を上回り、TPP交渉参加には関税撤廃を前提に反対だった自民党の姿勢は関係国との協議を踏まえ交渉参加を判断するに軟化しているとのこと。民主党がエネルギー・環境会議を設け、エネルギ・原発政策を単なる経済政策ではなく環境や地域や人権とのかねあいで捉える方向に向いたのに、全部ご破算のようです。あまりの大勝で何でもありと勘違いしているのか、選挙公約は空を飛び交う単なる音だったのか、選挙時の政策や評価がたった1週間で崩れています。国債の国際的評価が暴落しないよう祈ります。
コメント (0)