風の街

以前はこんなに風が強くなかった、と思いませんか?超高層ビルが増えるにつれ、ビル風がどんどん強まっているように思います。シビックセンターの西側から南側にかけて、メトロエムとラクアの辺りは夕方になると俄かに強風の街と化します。地下鉄口に並んだ違法駐輪自転車がドミノ倒しになっています。千川通り沿いのこんにゃくえんま付近やクイーンズ伊勢丹前も然り。

数年前、白山通り沿いの11階建てビルの屋上から外階段を降りていて、私はすんでのところでメアリーポピンズのように空を飛びそうになりました。足が浮き、しがみつくものもなく、恐怖で階段にへばりつきましたが、もし傘をさしていたら本当に飛べたかもと今となっては残念にも思います。

冗談はさておき、二子玉川駅前の再開発地ではビル風により転倒などで本当にけがをした地元の方が過去1年間で少なくとも3人いるそうです。

www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012070102000089.html

住民は区や再開発組合に抜本的な対策を求めているようですが、対策はもちろん必要としても、けがをした場合、誰に損害を賠償してもらえるのでしょうか。

風に損害賠償を請求するのは無理。このビルができる前はこんな強風は吹かなかったという原因と思われるビルに請求しても、「うちのビルがお客様を転倒させたという因果関係を証明できますか?」とか言われて取り合ってもらえないでしょう。行政に訴えても、「民民のことですから」とか言われてせいぜい無料法律相談を紹介してくれる程度でしょう。

1棟建てば確実に風害は増大するのに、最初の1棟から最後の1棟まで、だれも責任をとらない構造だからこそ、どんどん超高層化を進めてこられたとも言えます。

6月議会の一般質問で私は春日・後楽園駅前再開発のビル風について質問しました。

Q. 高さ141mの絶壁のような建物にぶつかって発生する下降気流や横幅50mの両端の巻きこみ風など、風環境悪化に強く異を唱えていた周辺住民は固唾を呑んでこの計画の行方を見守っています。このままでは基壇部のない141mの切り立った超高層ビルがたった3mの外壁後退でそそり立つことになります。その結果、現在でも自転車がドミノ倒しになぎ倒されるビル風に加え、風の遮断によるヒートアイランド化、都市型洪水や前代未聞の竜巻の原因と言われる積乱雲、さらに汐留の再開発が練馬にゲリラ豪雨をもたらすと言われる因果関係の難しさなど、超高層ビルがもうひとつ増えることによる被害は計り知れません。現在も被害があるから少し被害が増えるのは仕方がないというこれまでの発想では、少しずつ取り返しのつかないところまで被害を拡げ、いずれ人の住めない環境をつくり上げます。気候変動が無気味に迫る今日、これ以上は少しも環境を悪化させないという強い決意が重要と考えますが、区長の見解を伺います。

これに対する区長の答弁は

A. 超高層ビルによる環境についてのお尋ねですが、市街地再開発事業は、有効な土地利用、基盤整備、オープンスペースの確保、住宅の供給、防災性の向上など、様々なまちづくりの課題を総合的に解決しながら、環境への影響を出来る限り少ない計画となるよう配慮しております。まちづくりは、ただいま申し上げたとおり、様々な課題の解決を目的とするものであり、風などの環境への影響の面からのみ評価することは、必ずしも適切とは考えておりません。

環境影響の面からのみ評価せよとは全然言っていないのですが、誤解されたようです。命あっての物種と言いますが、人の住めない強風の街に有効な土地利用もオープンスペースも虚しい限りです。

2008年の東京都の環境アセスメントでの都の見解も、すでにビル風があるから多少増えても問題ないというものでした。景観についても同様で、すでに景観や眺望を阻害するビルがあるときは、次に建つビルが高くて景観を阻害しても外壁の色や材質くらいしか規制できないと。当時都の担当者との対話の中で、そんなことをしていたらいずれ環境も景観もめちゃめちゃになりますよ、と言うと「これまではよかったがここから先はダメという線引きは難しい。不公平になるし早い者勝ちになり、駆け込みがふえる。」という返答でした。

二子玉川のような事故が起きる前にどこかで超高層推進の政策を変更しなければならないのは当然ですが、政策変更がドラスティックであればあるほど既得権者からの抵抗が大きいのも当然です。文京区長は「これ以上は環境を悪化させないという強い決意は重要ではなく」、他の要素との兼ね合いでできるだけ環境影響を少なくすればよいというお考えのようですが、抵抗に屈せず早期に決断していただきたいと思います。

■首長の政策判断はとても重いということに関する興味深い記事が2つあります。お暇なときにお読みください。

岩波書店 世界7月号「政治家の不法行為責任とは」五十嵐敬喜法政大教授 www.iwanami.co.jp/sekai/2012/07/228.html

朝日新聞7月3日朝刊 「牛之浜由美・阿久根市議に聞く民主主義の暴走」www.asahi.com/news/intro/TKY201207020442.html?id1=2&id2=cabcahad

 

■藤原の質問と区長の答弁はこのサイトのトップページの最下段にあるキャビネットに入れてあります。www.m-fujiwara.net/cabinet.html

■一問一答形式の報告はまもなく市民の広場のサイトに載せます。www.hiroba-bunkyo.net/gikai/honkaigi.html

 

 

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