文化財は誰が守る?

重要文化財 銅御殿のとなりのマンション建設を巡り、近隣住民が文化庁を相手に起こした行政訴訟は、2月17日、東京地裁で原告敗訴の判決が出ました。

文化財保護法45条にもとづき、周囲の景観を含め重要文化財を守る環境保全措置を文化庁長官からマンション事業者に命令するよう求めたのに対しては、原告適格なしとして、また重要文化財の保存に影響を及ぼす行為は文化庁の許可を要するとする同43条にもとづき、影響を及ぼす行為の確認を求めたのに対しては、確認の利益なしとして、残念ながらたった10秒足らずで訴えは却下されました。

9月に判決のあった文京区と検査機関相手の建築確認取消訴訟は、建築確認には文化財を忖度する要件がないというような根拠で敗訴。

本命の今回の文化庁との訴訟は、文化財保存に影響を及ぼす行為とは新築行為のみ、影響を防ぐことをしないという不作為は行為ではないから、建物が建ってしまった以上訴えの利益なし、国の重要文化財なのに周辺住民には保護すべき具体的利益がないから原告不適格、という根拠で門前払い。

風の影響などに関する専門家たちの意見書は一切無視されました。

景観を守ってきた周辺住民の努力を含め客観的な景観利益・司法的利益を一定程度認めた国立景観訴訟のことにも触れているそうですが、それなのに今回の場合は、景観利益は主観的なもので明確な実体がないとし、享受する人が不特定多数で広すぎ、行政法規に保護すると具体的に書いていないとして斥けたそうです。

合法でも不当とはまさにこのことです。司法には特定の利益や権利しか守らないという素人でもわかる根本的欠陥があります。国の文化財や景観は国民みんなで守り国民みんなが利益を享受するもの、適格者が所有者だけってどう考えても変です。

近隣住民の文化財を守ろうという訴えを却下して本当に守れるの?誰が文化財を守るの?裁判所?文化庁?まさか守られなくてもいいと思っているわけはないでしょう、必ず責任をもって守ってくださいね!

湯立坂は、上からの眺望も下からの眺望もすっかり変貌してしまい、この区は、この国は、何ともったいないことをしたのかと茫然自失の思いですが、幸い原告団はあくまで明るく前向きです。

夜の報告会では、”損して得取る!”と力強く語っていました。
「裁判では負けても、文化財を守る使命の文化庁がこんな無策でどうする、こんな理不尽で不勉強な司法でどうする、という市民の声を高め、社会全体を変えていければ、議会も変わり行政も変わり、争わずしても文化財が守られ景観が守られる日が来るに違いない」と。
判決内容をよく検討して控訴するかどうか決めるそうです。

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