人口減少社会の都市計画

高さ制限は文京区のまちの将来を左右する重要な問題なので、ブログでも度々取り上げてきましたが、制限すること自体について、宅建業協会から強固な反対意見が出されています。

先日宅建業協会の方たちと面談しましたが、彼らによると、高さ制限によりディベロッパーの開発意欲が減り、投資意欲がなくなり、等価交換を楽しみにしていた区民は資産をふやせず、床面積がふえず、人口がふえず、税収がふえない・・・よって文京区の資産価値を下げるということです。

床面積だけが人口や資産価値を左右するわけではないのは誰が考えても当然のことですが、それにしても床面積をふやさないことが人口増加のチャンスをつぶすという論理には、この業界のあまりの頑迷さに唖然とし、二の句が継げませんでした。

東京都では、2010年の国勢調査で1,316万人だった人口が、2020年の1,335万人をピークに減少に転じると試算しており、高齢化率(65才以上の人口が総人口に占める率)は10年の20.4%から20年に24.0%、35年には28.9%まで上昇するという見込みを今月初めに発表しています。 その後、2050年には高齢化率が40%近くなるという報道もありました。

2月14日の本会議で公明党岡崎区議が空き家対策について質問されていて、その中に全国の空き家は2008年時点で757万戸、この10年で180万戸増えたというデータがあり、文京区でも昨年小石川地区で調査したとの答弁もありました。

岡崎区議は安全・安心まちづくりの防犯防災の見地からの質問でしたが、マンションや住宅がどんどんふえている文京区の空室状況については、住宅政策、再開発政策などとも関係するので、今後は絶対に調査が必要と考えます(個人情報云々でこれまで調べていただけなかったのですが)。

ともあれ、総務省統計局「平成20年住宅・土地統計調査報告」を基にニッセイ基礎研究所が作成したデータによると、23区の空き家数は2008年までの10年で45万戸から54万戸にふえており、分譲マンションについては、文京区は11.7%の空き家率で23区中8番目に多くなっています。
www.nli-research.co.jp/report/real_estate_report/2010/fudo101006.pdf

 野村総合研究所の「人口減少時代の住宅・土地利用・社会資本管理の問題とその解決に向けて」を読むと、すでにドイツなどでは減築やリサイクル・リフォームなどの空き家対策が進んでいますが、課題も多いようです。日本でも新規着工を控えるとともに既存住宅の改修などストック活用がますます求められるようになるでしょう。

www.nri.co.jp/opinion/chitekishisan/2009/pdf/cs20090803.pdf

www.nri.co.jp/opinion/chitekishisan/2009/pdf/cs20090907.pdf

www.nri.co.jp/opinion/chitekishisan/2009/pdf/cs20091007.pdf

1月末に建設委員会で京都市を視察しました。

2007年に45m→31m、31m→15mと高さ制限を引き下げた京都市では、既存不適格建物が2000棟あるにも拘わらず、建替え特例は1回も認めていません。それでも訴訟は皆無、不適格建物の建替え支援制度への申込みもなし、逆に今のままで問題なく使えるのだから修理して長く使えば希少価値がうまれるという発想に転換し、これまでなかった管理組合をつくるマンションや、長期修繕計画を立てる管理組合も出てきたそうです。また、着工動向は景気動向による減少程度、大阪など外からの儲け主義のデベの参入が減り、質の良いマンション計画だけが残り、かえって好都合ととらえているようでした。

こういうパラダイムシフトが東京にはどうしてできないのでしょうか床面積がふえると人口がふえるなどという幻想を本気で信じているのか?それとも自分たちだけ儲けて売り抜けて、古いアパートやマンションが困ろうが空き家がふえようがゴーストタウンになろうが知らぬ、という冷たい人が多いのか?
いみじくも文京区の宅建諸氏が言うには、京都は守るべきものが残っているが、東京はもう細切れで滅茶苦茶になっているから、高さより最低敷地を制限する方が良いと。然り!ここだけは頷けましたが、でも高さ制限も絶対必要です。

しかし京都にはなぜ文句を言う人がいないのでしょうか。京都の行政マンが言うには、京都は昔から制限されてきた街だから慣れている、制限がなければ京都のアイデンティティがなくなることを知っていると。従って建築基準法ぎりぎりまで容積を使おうなどとも思わないようです。町屋のある田の字地区では300%のところ150%程度しか使っていないと。

行政マンの努力も半端じゃありません。縦割りを廃して都市計画局総出で、市内14ヶ所をはじめ要請に応じて計200回説明会をしたそうです。当初反対だった不動産業界も賛成に転じたということで、だから訴訟も文句もないのかもしれません。
文京区にはまだかろうじて古い町の面影が残っていて、それが文京区のアイデンティティでもあるのですから、京都の心意気、宅建業界にはわかってほしいし、行政には将来高層ビルの減築などしなくて済むよう、妥協せず初志貫徹してほしいです

さて、「絶対高さ制限を定める高度地区指定の第2次素案」、2月20日に区報特集号が新聞折り込みで配布されます。説明会が3月14日から5ヶ所でおこなわれ、4月6日まで区民意見を募集しますので、どんどん意見をお出しください。www.city.bunkyo.lg.jp/sosiki_busyo_keikakutyousei_keikaku_setumeikai_takasa2.html
 
 

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