歴史的建物を守る大切さ

浅草寺、増上寺、護国寺など国の重要文化財に指定されている東京の歴史的な7つの建物の所有者が、本日、景観を守るために周囲の建築計画に高さなどの配慮を求める要望書を東京都に提出したそうです。

www3.nhk.or.jp/news/html/20111111/k10013885501000.html

文化庁ではなく東京都というのがミソです。

東京都景観条例による歴史的景観保全の指針では、都選定歴史的建造物として三越本店や自由学園、東京芸大、隅田川の橋など100近くをあげていますが、これらは100m以内の建物に高さやデザインの制約を課しています。

都の方がやや保全に乗り気のようですが、この指針では国指定文化財は対象外なので、逆に重要文化財や登録文化財の方が保全の危機にさらされています。

そういえば昨年の3月に危機的文化財バスツアーというのを企画して、浅草寺や銅御殿を巡りましたね。あ~、あのときから文化行政は何も進歩していないのか・・・

要望書提出とちょうど同じ頃、東京地裁では、湯立坂の銅御殿周辺住民が文化庁を相手どって起こした訴訟が、原告の最終弁論を終え結審しました。

文化庁は、重要文化財からたった数メートルのところの高層マンション建設がデリケートな歴史的文化財に及ぼす影響を、建築基準法の対象外ということできちんと考慮することもなく、裁判所は周辺住民は所有者ではないので原告適格がないとして、入り口で排除しようとしています。

文化財を守りたいという意思の片鱗さえ見えない、お粗末な文化行政。

言っていることとやっていることに少々乖離はありますが、東京都の方がまだ方向性だけでも評価できます。

最終弁論をした原告の1人、並木さんの言葉がとても心を打ちました。

現在ではお金をかけても入手できない素材、すたれかけた匠の技、そして地震国で超高層を可能にした伝承技術である五重塔の免震構造、私たちの代で終わらせてはならず、伝え遺すことが私たちの義務なのです。

結審後、並木さんが心情を述べていました。

いったい文化庁は何のためにあるのか。文化財指定をして何をやりたいのか。所有者でなくては訴えも起こせないなど論外。文化財は公共財。それを守るのが文化庁ではないですか!

そもそも美観の基準を明文化するのは難しく、法律の条文では文化は守れませんが、法を運用する人々、つまるところ人々が、文化や歴史、景観、美観を理解することでヨーロッパのような美しい街が保てるのかもしれません。

判決は来年の2月17日だそうです。

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